灌水パイプの配管の仕方

例えば、横100m縦80mのハウスで、栽培ベットが48ベットある圃場に、本管に単純に各ベットに灌水するような配管をすると、本管から1番目に水がでるように設置してあるベットの点滴チューブの最初の穴から、250ℓの水が出てからやっと最後の48番目の点滴チューブの、80m先の穴から水が出てきます。したがって、最後の48番目の点滴チューブの80m先の出口に必要な水量や液肥の量を供給しようとすると、栽培ベット全体には15倍の水と液肥が必要になります。

1番目の最初の水が出る所の近い栽培ベットの1番から16番目の1/3のベットには、水や肥料が過剰に供給され、17番から32番目の1/3のベットはやや良い供給量で、残りの33番目から48番目のベットの1/3のベットには水が殆どかかっていない状態となります。ですから潅注機で1株1株肥料や酸素剤を打った時は結果が目に見えるが、灌水チューブで同じ量の肥料や酸素剤を供給した場合は、なかなか効果が見えない事になります。

PC農法によるトーナメント配管をすると水や肥料が圃場全体に均一に供給する事が出来ます。地中暖房も本管の配管を間違えると手前のベットしかお湯が回らないことになります。良い作物を沢山収穫する為には、先ずは、各作物の1株1株に均一に水や肥料を供給出来るようにする必要があります。

又、培地の温度も均一に上げるような地中暖房の本管の配管も必要になります。その為には、PC農法によるトーナメント配管や地中暖房配管を行なう必要があります。7月の講習会では、実際にトーナメント配管や地中暖房配管を行なって、実験実演をする予定です。

トマトの収穫量

韓国の晋州市の砂栽培のミニトマトは、1本の樹から10.3kgの収穫がありました。これを10a当りに直すと×1800本ですから18t以上を収穫した事になります。収穫が始まったのが、去年の10月半ばからで、終わったのが5月20日です。7ヶ月間の収穫期間に、1果房当り300gの収穫を行い、1果房当り平均15個のミニトマトを収穫しています。
トマトの収穫量が計算出来、その通りに収量を上げるコツがあります。それは生育時期によってトマトの栽培管理の仕方や収穫の仕方があるからです。今回の講習会では、そのマニュアルを配布しています。そこには収穫期間一日一日の管理が詳しく記載されています。

トマト1kgを生産する為の経費を2011年の物価で計算。
  1. 1、人件費
  2. 2、水代
  3. 3、電気・光熱費
  4. 4、肥料代
  5. 5、農薬代
  6. 6、出荷・包装紙代
  7. 7、ハウス設備償却

トマト1kgを生産する為には、最低1kg当り180円が必要になります。180円でトマトを売ると生活費が無くなります。です からこれに利益を乗せないと生活が出来なくなります。→ 生活費、勉強の為の研修費等。
トマト30t×5反=150t。1t 1万で150万、1t 2万で300万、1t 3万で450万・・・1t 6万で900万。利益が60円必要であれば+生産原価180円=240円となります。トマト1kgの価格は240円となります。180円以下ならば出荷する時期によっては、出荷する度に赤字になります。ミニトマトは1kg単価360円ないと採算が合いません。なぜならば一果房当りの大玉トマトの生産量は600~700kgで、ミニトマトの生産量は300gです。

トマト2,5葉期で1段目花芽分化、5,5葉期で2段目花芽分化、8,5葉期で3段目が花芽分化します。したがって、1,2,3段目は定植前で3段目までの結果が決まっています。定植してから完全に活着させるまでには5段目まで決まってしまいます。1段果房600×5段=3kg×1,800本/10a=5,400kgとなります。。
トマトは花を重要視すると生長点(芯)が無くなります。1段目の花芽が分化するとその花芽の腋に腋芽が発生します。この脇芽が生長点(芯)となります。1段目の花芽が分化して、次ぎに腋芽の葉芽が分化します。ですから少しでも着果負担をかけてしまうと直に生長点(芯)が無くなる訳です。
トマトは朝太陽が昇る前、芯に必ず葉水が吹きます。上位4枚目より上の方には所々に葉水が見られます。葉水が止った生育は足踏み状態です。
この為生育は前に進まない状態になっています。 イチゴの花芽分化時はC/N=56以上にならないと花芽分化しない。
N濃度を下げるか、糖度Cを上げるかしかない。
↑ アンモニアガス NH3が発生
PH7.2以上の水に硝安を溶かすと NH4+ + OH-  → NH3+H2O
NaHCO3 重炭酸ナトリウムを含んでいる水を使う場合は注意が必要です。土の中の炭酸ガス濃度は5%以上になると、根は呼吸が出来なくなりますので根腐れを起して死にます。

NaHCO3 → は水に溶けると KOH + CO2 ↑ が発生します。更にNaOHは苛性ナトリウムですから、PHは13以上になります。NaOHは → Na+ + OH- に成ります。

だから使う水はOH-を中和する為にpH処理を行なう必要があります。又、CO2が発生していますので、酸欠を防止する為に、全部オキシデーターで処理する必要があります。pH処理やオキシデーターで処理すると水の中にはNaだけ残る事になります。ですから、NaHCO3 重炭酸ナトリウムを含んでいる水を使う場合はオキシデーター処理とpH6.9以下にする改良が必要になります。

CO(NH2)2 尿素 土の中での変化の仕方
CO(NH2)2 → CO 一酸化炭素 → 根がやられる。
NH2NH3NH4NO2NO3
アミンアンモニア吸収亜硝酸吸収
根がやられる根がやられる 根がやられる 

したがって尿素を土に施肥したら7~10日置かないと根が遣られるので作付け出来ない。NO3に変るまで時間がかかります。
硝安(硝酸アンモニウム)を水に溶解させた場合は以下の様になります。
NH4NO3
 
NH4 NO3
 
14+1×4 14×1+16×3

1mol 18g 1mol  62g  18g+62g=80g 硝安の1mol当りは80g。これを1tの水に溶かすとECは0.1414ms/cmとなります。

トマト 1t収穫する為にCO2は何kg必要か?
平均糖度 6°以上の場合 1tのトマトの中で C6H12O6 → 炭水化物(糖)は37kgですから
C6H12O6 →12×6+1×12+16×6=180

Cはいくらか?
C6=72 72/180=0.4 37kg×0.4=14.8kg→ C。
これをCO2に直すと CO2=44ですから 12/44=3.66×14.8=CO2の量は54.16kgと成ります。ですから1tのトマトを生産する為には54.16kgのCO2が必要となります。
C6H12O6 に根から吸収したNO3を葉の中でMoの力を借りてNH4に還元されて、NH4は最初のアミノ酸であるグルタミン酸 C5H9NO4が作られます。

C/Nの割合が 40:1以上の割合でないと病気が発生します。 40:1以下の割合になると病気が発生したり、玉が腐ってきたりします。ですから、糖度計や硝酸テストを使って毎日葉柄糖度と硝酸濃度を測って、糖度が上がっていて、硝酸濃度が下がっている時は追肥が出来ますが、糖度が下がっている時は追肥は出来ません。